保険代理店の将来性は?AIとロ方式で変わる代理店業界の今後

「保険代理店って、これからどうなるんだろう……」

そんなことを、最近ふと考えることはないでしょうか。AIの話題があちこちで出てくる中で、保険の仕事が将来どう変わっていくのか、少し気になっている方も多いように思います。

2026年には保険業法の大きな改正が予定されていて、販売ルールの見直しも進んでいます。同時に、AIツールの導入が業界全体で加速しているのも事実です。こうした変化の中で、保険代理店という仕事の位置づけも、少しずつ変化しているように見えます。

この記事では、保険代理店業界の現状を数字で確認しながら、ロ方式への転換やAI活用が代理店にどのような影響をもたらすのかを、なるべくわかりやすく整理しています。業界の先行きを一緒に考えるきっかけになれば幸いです。

保険代理店の経営戦略を体系的に理解したい方は『【2026年最新版】保険代理店の経営改善完全ガイド|LTV最大化と利益体質を作る仕組み化戦略』をご覧ください。

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この記事でわかること
  • 損害保険代理店数・募集従事者数の最新統計(2024年度)
  • 2026年保険業法改正における「ロ方式」一本化の概要
  • ハ方式とロ方式の違いと、代理店への実務的な影響
  • AI活用が代理店業務に与える変化の方向性
  • 変化に対応している代理店に見られる傾向

目次

保険代理店業界の現状:数字で見えてくること

保険代理店の将来性を考えるうえで、まず現状を把握しておくことが出発点になります。

一般社団法人日本損害保険協会が公表した「2024年度損害保険代理店統計」によると、2024年度末時点の損害保険代理店実在数は140,138店でした。前年度末(150,652店)と比べると10,514店の減少(△7.0%)で、減少幅は前年度をさらに上回っています。

指標2024年度末前年度末増減
代理店実在数140,138店150,652店△10,514店(△7.0%)
募集従事者数1,779,201人1,793,554人△14,353人(△0.8%)
新設代理店数4,334店5,679店△1,345店(△23.7%)
廃止代理店数14,848店11,179店+3,669店(+32.8%)

出典:日本損害保険協会「2024年度損害保険代理店統計」

廃止代理店数が前年度比で32.8%増加している一方、新設代理店数は23.7%減少しています。全都道府県で代理店数が前年より少なくなったという事実は、業界全体のトレンドとして見ておく必要があります。

ただし、この統計と同時に注目したいのが「代理店の大型化」という流れです。代理店数が減る一方で、法人代理店が61.6%を占めているという数字には、小規模代理店の廃業と中・大規模代理店への集約という構造変化が反映されているとも読み取れます。


2026年保険業法改正:ロ方式への転換が業界を変える

そもそも「ロ方式」と「ハ方式」とは何か

保険の比較推奨販売には、「イ方式」「ロ方式」「ハ方式」という3種類のルールがありました(損害保険の場合)。このうち今回の改正でポイントとなるのが、「ハ方式」の廃止と「ロ方式」への一本化です。

方式概要
イ方式顧客の意向を踏まえ、すべての取扱商品の中から比較・推奨
ロ方式顧客の意向に基づき、比較可能な商品の中から適切に推奨・説明・推奨理由を明示
ハ方式代理店独自の基準(手数料水準・経営方針など)で推奨商品を絞り込むことを認める方式

ハ方式は、代理店側の都合(例:手数料が高い商品を優先するなど)で推奨商品を絞り込める余地があるとして、顧客本位の観点から問題視されてきた方式です。

令和7年(2025年)5月30日に「保険業法の一部を改正する法律」が可決・成立し、令和8年(2026年)6月1日に施行される予定です。これにより、比較推奨販売はロ方式に一本化されます。

出典:金融庁「令和7年改正保険業法(1年以内施行)に係る監督指針等の改正(案)公表」

代理店にどんな影響がある?

ロ方式に一本化されることで、代理店には**「なぜその商品を推奨したのか」を顧客に説明し、その記録を残す義務**がより強く求められるようになります。

また、今回の改正では特定大規模乗合損害保険代理店に対して、以下のような体制整備義務も追加されています。

  • 法令等遵守責任者・統括責任者の設置
  • 苦情処理体制の整備
  • 内部通報・内部監査体制の構築
  • 兼業業務の監視体制整備(自動車修理業等を兼業する場合)

出典:BUSINESS LAWYERS「令和7年保険業法改正の概要と実務対応」

これらの義務は、大規模な乗合代理店を主な対象としていますが、中小規模の代理店においても、顧客への説明の丁寧さや記録の管理といった観点で、実務への影響が出てくる可能性があります。

「販売チャネルの見直し・再構築」「データ利活用の高度化」「保険業界の信頼回復に向けた取り組み」は、2026年に向けて保険業界が取り組むべき必須課題として挙げられています。

— PwC Japan「日本の保険事業者が知っておくべき2026年の必須課題」

ロ方式の詳細については『ロ方式とハ方式の違いを徹底解説|保険代理店が今理解すべき本質とは?』をご覧ください。

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AIの普及は代理店の仕事をどう変えるか

保険会社と代理店の「導入温度差」

AIの活用という点では、保険会社レベルと代理店レベルで温度感の違いがあります。保険会社では、チャットボットによる問い合わせ対応や査定業務の一部自動化が進んでいます。代理店レベルでの本格的な活用はこれからという段階にあります。

ただ、こうした変化は「代理店の仕事がなくなる」という方向に単純につながるわけではありません。むしろ、事務作業や情報整理の部分をAIが担うことで、人が担う相談対応や関係構築に充てる時間が増えるという側面もあります。

事務作業の変化

AIツールを活用することで変わる可能性のある業務として、以下のようなものが挙げられます。

  • 保険契約の更新通知や書類作成のサポート
  • 顧客情報の整理・管理の効率化
  • マーケティングコンテンツの下書き作成補助
  • 問い合わせへの一次対応(チャットボット的活用)

これらは「AIに任せれば完結する」というよりも、「AIと組み合わせることで効率が上がる」業務です。つまり、AIを使いこなせるかどうかが、今後の業務効率に影響してくる可能性があります。

相談・提案の場面での人の役割

一方で、保険の相談は「この商品で大丈夫ですか」という確認作業ではなく、「自分の状況に合った選択肢を一緒に考えてほしい」というニーズが根本にある場合が少なくありません。

家族構成、仕事の状況、将来の不安……。こういった話を聞き取って、その人に合った提案を組み立てていく作業は、現状ではAIだけで完結しにくい部分です。ここに、対人コミュニケーションを通じた代理店の役割が残り続けると考えられます。

保険代理店におすすめのAIツールについては『保険代理店におすすめのAIツール|業務効率化に役立つAI活用方法』をご覧ください。

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保険代理店の将来性を考えるための視点

構造変化は「脅威」でも「機会」でもある

代理店数が減少していることや、業法改正による規制強化、AI普及による業務変化——これらをどう捉えるかは、立場によって変わってくるかもしれません。

ただ、こうした変化が同時に起きているということは、変化に対応できた代理店にとっては、市場内での存在感を高める機会にもなり得ます。

以下の表は、業界の変化を整理したものです。

変化の要因課題となりうる側面機会となりうる側面
代理店数の減少廃業・撤退が増加競合が減り、残存者利益の可能性
ロ方式への転換説明・記録対応の負担増顧客本位の姿勢が差別化になりうる
AI活用の進展事務スキルの見直しが必要業務効率化・コスト削減の機会
デジタル化の加速対面中心の代理店は集客が難化デジタル接点で新規顧客獲得の余地

顧客との接点はどう変わるか

保険への加入をデジタルで完結させる層が増えている一方で、比較検討の段階で専門家に相談したいというニーズも一定数残っています。

NTTデータ経営研究所の調査では、2026年の保険業法改正(ロ方式一本化)に伴う第三者評価制度の導入が、インターネットで保険に加入していた層を代理店チャネルに呼び込む可能性を示唆しています。

出典:NTTデータ経営研究所「保険業法改正に伴う消費者意識の変化と保険代理店チャネルがもたらす影響調査」


変化への対応が求められる代理店の特徴

これまでの内容を踏まえると、今後の業界変化に対応しやすい代理店には、いくつかの共通する傾向が見えてきます。

顧客本位の説明体制が整っている

ロ方式への転換で求められる「推奨理由の明示・記録」は、ある意味で代理店の丁寧さがそのまま問われる変化です。顧客への説明を大切にしてきた代理店にとっては、自然な延長線上にある対応ともいえます。

反対に、商品の推奨理由を明確に伝える習慣がなかった場合は、今後の実務対応を見直す機会になります。

デジタルツールを活用して業務効率を上げている

AIや各種デジタルツールの活用によって、書類作成・顧客管理・情報発信などの効率を上げている代理店は、スタッフが相談業務に集中しやすい環境を作りやすくなっています。

デジタルの活用は「一気に全部変える」ではなく、日常業務の中で少しずつ試していくことから始まる場合が多いように見えます。

Webやオンラインでの集客接点を持っている

対面での紹介・口コミが中心だった代理店にとって、Webでの情報発信は後回しになりがちです。ただ、新規顧客との出会いの場がオンラインにシフトしていく中で、Webやソーシャルメディアでの露出が、見込み客との最初の接点になるケースも増えています。

特定の商品名や会社名を前面に出すのではなく、地域の顧客に向けた情報発信や、生活シーンに合わせた保険の解説といったコンテンツが、信頼関係の入口になることもあります。


よくある質問

Q1. 保険代理店の数は今後さらに減少していくのでしょうか?

A. 損害保険代理店の実在数は、2024年度末時点で約14万店と前年から7.0%減少しています(出典:日本損害保険協会「2024年度損害保険代理店統計」)。廃止代理店数が増加傾向にある一方で、大型化・法人化の動きも見られます。今後の推移は社会・規制環境に左右されるため、一律に予測することは難しい状況です。

Q2. ロ方式への転換は、すべての保険代理店に関係しますか?

A. 今回の保険業法改正(2026年6月1日施行予定)で特に義務が強化されるのは「特定大規模乗合損害保険代理店」ですが、比較推奨販売をロ方式に一本化するルール変更は、乗合代理店全般に関係します。規模にかかわらず、顧客への説明方法や記録管理の見直しが必要になる場合があります。詳細は金融庁の公表資料をご確認ください。

Q3. AIが普及すると、保険代理店の仕事はどうなりますか?

A. 事務的な作業や情報整理の一部はAIツールで効率化できる方向に進んでいます。一方で、顧客の状況をヒアリングして個別の提案を行うような対話的な業務は、現状では自動化が難しい領域です。AIを活用して効率を上げながら、相談・提案の部分に時間を使えるようにしていく流れが、業界全体で進んでいると見られます。

Q4. ロ方式への対応として、代理店はまず何をすればよいですか?

A. 具体的な実務対応は代理店の規模や所属保険会社の方針によって異なります。まずは所属保険会社や業界団体(例:日本損害保険代理業協会)からの情報・研修を確認することが一つの出発点になります。法改正に関する一次情報は金融庁のWebサイトでも確認できます。


参考情報

本記事の作成にあたり、以下の公的機関・公式資料の情報を参照しました。

この記事の監修者
柴田雅之のプロフィール写真

柴田雅之

デジタルマーケティングマネージャー兼ファイナンシャルプランナー

保険代理店専門のWeb集客コンサルタントとして、SEO対策、Google広告・Meta広告などのWeb広告運用、LINE公式アカウントおよびLステップ導入、CRM構築まで、保険代理店の集客から顧客管理・成約率向上までを経験。
紹介依存から脱却し、Web経由で安定的に見込み顧客を獲得できる仕組み構築を得意とし、検索集客・広告・LINE・CRMを統合したデジタルマーケティング戦略の設計・実行を行っている。

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